「でけえ!」
JR秋葉原駅に降り立ったぼくは、その街の、いかにも観光地然とした景観に圧倒された。
ビルとビルがひしめきあい、人と人が絶えず行き交い、アニメっ気を帯びた広告等のおびただしさに、ぼうっとする。
すでにこの何日間かに秋葉原へは一度きたはずなのに。やはり街の活気それ自体が異質なのだろう。
上野、渋谷、原宿、池袋・・東京の観光地らしいところは、それぞれに「街のにおい」がある。
あたかも料理の数だけ味の数があるがごとく。もっとも、秋葉原は異質で異端なのだけれども。
非現実的快楽を全面的に「是」とする空間で、奇人変人がのさばって許容されるおおらかさがある。
「さてはパチンコ屋もなかなかに個性的なのでは?」
パチンコ屋に踏み込む口実を思いついたぼくはしめしめとばかりにパチンコ屋のドアをくぐった。店内に充満する騒然とした雰囲気は福岡であれ東京であれ田舎であれ都会であれ、とどのつまり、どこもかしこも似たようなものだと思った。
しかしながら、飛び込んできた光景は、いままで見たことのない、まるで珍妙なありさま。
「なんじゃこりゃ!?」